『夏井いつきの一句一遊』「天」の句を鑑賞する! 嶋村らぴ
帯番組とはいえ、なんせ十分しかない番組だから、
この手のお便りはなかなか紹介できないのです。
是非、このブログのほうにお便りを寄せて下さい。
素晴らしい分析と鑑賞が届いております。
いつも言うことですが、俳句における実作と鑑賞は車の両輪です。
どちらの筋肉も必要だということ。
そして、佳句に出会い、佳き鑑賞に出会うと、
体中の血が綺麗になっていくような心地がします。
■俳号 嶋村らぴ
■お便り
組長、夏井&カンパニーの皆様こんにちは!
嶋村らぴです。
先日は一句一遊「早春」月曜日にておたより紹介して頂きありがとうございました。
毎回お便りが長くて申し訳ないです。(俳句をしているのに文章の省略が下手!)
長くて紹介されなかった部分を短くしたお便りに、天の句の感想も一緒に送ります!
よろしくお願いします。
以下本文です。
私はひとつの季語について考える時、歳時記を開いた前後の季語や似たような季語が無いか、傍題とのニュアンスの違いは何か…など可能な範囲で考察するようにしています。
たとえば今回の「早春(春早し)」では「遅春(春遅し)」との違いについて考えてみました。
(他にも春浅し・春兆す・余寒なども同時に読み比べました。)
早春と遅春は「早い・遅い」と真逆ですが、どちらも初春(春のはじめ)の季語という共通点があります。「同じ時期」なのに遅春は「暦の上では春なのに春の実感が遅い、なかなか来ない」のに対し、早春は「実感は薄いけれど春が(早く)来ている感じ」かなと思いました。「同じ時期」に「違う感じ方をしている」というのが「早春/遅春」の大きなポイントかなと!
そしてそれを意識する事が難しい季語でした…。
それを踏まえて今回の天、元野おぺらさんの一句
「早春といふおほいなる鰓こきふ」は、早春の一物仕立として本当に素晴らしいと感じました。
「鰓こきふ(エラ呼吸)」は口から水を取り込み、鰓蓋から水を排出して行う呼吸のこと。
水を取り込む時に水中のわずかな酸素を体内に取り込む仕組みです。
冬から春へ移る時期に「早春といふおほいなる鰓こきふ」を感じるとは、まさに。
少しずつ少しずつ「おほいなる鰓こきふ」が、本格的な春を呼び込む…。
まさに「早春」とはこのようなものかもしれない!と共感しました。
また「鰓こきふ」で生命の存在・誕生などを感じさせるのも春らしい素敵な言葉選び。
これぞ「早春」の早春の一物仕立。血が綺麗になる一句だなと感じました!
- 2024.03.06 Wednesday
- 一句一遊
- 07:00
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- by 夏井いつき