「いつき組」大お花見大会報告〜西宮から、大分から、博多から、高知から〜
「いつき組」大お花見大会の朝。
きとうじんスポレク部長から「忘れ物を取りに帰ってたんですが、ついでにお迎えに寄りましょうか」との電話が入りました。「おおー、それはラッキー!」
今年も、ねこ端石君の純喫茶・恋猫が店びらきするだろうから、ねこちゃんの淹れてくれる朝の珈琲をあてにして、近くのパン屋さんでサンドイッチやパンを仕入れます。
「きとうじんさん、何を忘れてたの?」「いつき組の旗を忘れないようにと、そればっかりが気になってたものですから、肝心の酒を忘れて…」
うん、なるほど引き返さざるを得ないですわな〜
日曜日の朝はラクラク空いておりまして、八時十分前に道後公園のすぐ側の(知ってる人だけが知ってる穴場の)駐車場に車を止めると、同じ駐車場に高知ナンバーの車。んんん? 近寄ってみると、やはり高知のてっぺいちゃん!
さすがです、てっぺいちゃん。「朝の八時から夜の八時まで十二時間フル参加の予定です」と、大荷物をかるがる担いで歩き出しております。
「予約を入れている日野商店さんを探して下さい」と言われていたので、まずはその店を探さなくちゃ・・と思えば、何の苦労もなくすぐに発見。若いオネエチャンが二人、ゴザをセッセと広げています。
「おはようございます!いつき組です!」
「うっわー、ほんとに八時に来るんや!」「ハイ、恒例なんで」「ほんッとに夜の八時までやるんですか?」「ハイ、これまた恒例なんで」「実はまだウチの店開く時間じゃないんで、オタクらに合わせて、ワタシらこんな時間に泣く泣く這うようにして出てきたんです(涙〜)」「す、すんません」
そんなことを言ってるうちに、予想どおり、ねこちゃん登場。
午前八時に集まったメンバーは、きとうじん・ねこ端石・てっぺい・兼光・いつきの五人。紙コップに、きとうじん部長が持ってきた日本酒を注いで最初の乾杯だ〜!
乾杯からそれほど時間が経たないうちに、ドクトルバンブー君登場。
が、なにか、どこかが、うらぶれている感じ??「昨日は朝の四時まで飲んでまして、一度寝たらもう花見に来られなくなりそうだったので、寝ないでそのまま来ました。」「…それ、アンタ、昨日とはいわんやろ、さっきやろ」
寝ても寝てもまた寝る猫や八重桜 ドクトルバンブー
彼の只今現在の願望を詠んだような一句。つらいの〜二日酔い。
さらに同類がすぐに登場。やはり昨夜・・いや、今朝まで「まる安」食堂で飲んでいたという博多・理酔クン。さらに「祭り関係の飲み方が昨夜あって、このまま寝たらボクも、いつき組の花見に来られんと思うたんで、そのまま来たッス!」という、新居浜・ラグナ君。君ら…どうしてそこまで似るの??
割り当てられた一区画では、どうみても足りそうもないので、オネエチャンに頼んでもう一区画分増やしてもらいました。これで広さはなんとか確保できたように思うんだけど、やはり朝のゴザの上は寒い。ねこちゃんが珈琲を淹れはじめました。てっぺいちゃんが貸してくれた断熱マットのなんとありがたいことか。
「おはようございます!」と現れたのは、テニスの朝練帰りだというtoku229さん。場所だけ確認して、一度家に帰ってくるとのこと。「私は、去年の花見の日に初めてここで組長と会ったんです」という、再会の思いを詠んでくれておりました。
桜咲き再会楽しいつき組 toku229
ねこちゃんの珈琲の香りに誘われるように、マルコボコムのスタッフ・まほろ君、まーくん、そしてキム・チャンヒ編集長も「ブックレビュー」のための本を抱えて登場。
次々に人集まりて朝桜 まーくん
伴奏の嬰ハ長調初桜 まほろ
今日は、ここで俳句マガジン「いつき組」のコラム「ほろよいブックレビュー」の対談?も行われます。書店員・正田君の到着を待ちますが、「これから家を出る」とか出ないとかという電話がかかってきている模様。チャンヒ編集長曰く「彼の場合、想定内の出来事ですから‥」
正田君無事に到着。続いて、マイマイ君が愛妻・藤実を連れて登場。「私は仕事なんで、夜の八時まで妻を預かって下さい」と言い残して帰っていく。「たしかに人妻預かった!」と、皆でその背中に向かって叫ぶ!
その背中と入れ違うように、今年の花見、最も遠方からの参加者・ひでこさん到着!大拍手で迎えられたこのお母さん、なんと兵庫県西宮から飛行機での日帰り参加〜スゴイぞ、ひでこちゃん!
子規もみた漱石もみた初桜 ひでこ
正田君が現れて「ブックレビュー」が始まる頃には、車座もだんだん大きくなっています。背後では、てっぺいちゃんの七輪焼き屋が開店。手書きメニューに、皆が爆笑。「てっぺいちゃん、自分の名前の「て」を大きく書き間違えるのって、どうなんですか(笑)」とチャンヒ編集長に突っ込まれております。目の前では、広瀬くんのチゲ鍋がぐつぐつ煮え始めました。
十時から開始の「連句部公開興行」に参加する連句部員も続々到着。さすがは(ムトハップ会の)皆さん、早めの到着。連句部長・桂雪さん、けいさん夫妻、大きなお重箱を抱えての登場に大拍手!
野暮の居て語り部の居て花見かな 桂雪
続いて、同じく連句部員でありムトハップ会会長の蕃さん、奥さんのももさんも到着。二人とも、クリップ付き色紙を準備してやる気満々モード。脚の手術が終わった蕃さんは、小さな椅子を持参の参加であります。
脚癒えし夫さそひて花の下 もも
さくら花人の盛りに散るべきや 蕃
「連句なんて難しそう」と思ってる人たちに、まずは経験してもらうための興行。「名残の裏」の恋あたりから12句ほどを残してあったので、それを皆と一緒に巻き上げようという趣向です。連句って何?という人間が、この時点で三十人以上。「そんなルールがあるんなら早く言ってよッ」「七七ぢゃなかったのかよッ」「げげ、また予選落ちッ」とわめきつつ、ガンガン参加してくる組員たち。一升瓶もグングン回ってきて…たぶん、この瞬間、日本一品の無い連句の座であったろうと思われます?!
人目を避けて咲く冬菫 蕃
二番目の女でいいのアタシなら いつき
帰ったあとの松任谷由実 酒洛
脱ぎすてし衣ににほひのこりたる もも
翼竜の来て夜をのみこむ 理酔
マグダラのマリアは眠る十三夜 稲穂
ひょんの実鳴らすふるふる鳴らす いつき
空っぽの鞄の底の冬隣 まほろ
三本ジュースひとつなくなる 瑛翔
これからはきれいどころが来ると言ふ もも
駒下駄過ぐる湯屋の坂道 樫の木
流れ浮く風に遊びて花筏 けい
鯉の背びれに春宵の影 きとうじん
大分から参加・豊後の樫の木クン、4月から中学生俳人となる瑛翔クンなどの句も堂々採用され、酒洛こと、らくさぶろう君は「連句って面白いですね!連句部行ってみたいなあ」と言いつつ、愛南町での仕事へと出発なさいました〜
キム・チャンヒの兄ちゃんご一家は、「『いつき組』の花見に行かないわけにはいかない!」という子供たちの主張で、連句部の時間帯に参加。子供たちはそれぞれ連句にも挑戦し、桜の一句もしたため、春休みの里帰り・鹿児島へ出発しました〜
パチンコの木の下でお花見会 瑛翔
八重桜ござの周りにならぶくつ 紗蘭
さくらさくピンクとくろのくつならぶ あんり
さあ、花見の茣蓙はすでに満員状態!
持ってきた酒や食べ物が広げられ、わあわあがあがあの大賑わいの中、きとうじん部長の「皆さんッ!」との大声の呼びかけにより、ラジオ番組「一句一遊」再開運動のためのパワーランチミーティングが始まります。(内容は昨日のブログにて報告)
あれだけ、騒いでたのにピタリとこの話に集中できるのがスゲーな〜と、心秘かに感嘆。書記役の兼光さんが、黙々とメモを取っています。
ひとまず、皆さんの意見を集約して、高知・まっことマンデー君、きとうじん部長などが活動方針を相談。ホームページの朧庵にて、今後の方策を発表していくことになりました。
養花天下はピンクに上は青(ブルー) 破障子
筆耕の終わりし頃の桜かな 姫海堂@字がかけるうちに投句!
この、姫海堂の@以下の判断は正しい!
座は、ぐんぐん乱れ始めます。まだ正午を回ったところだというのに…。あっちでは、プリマッスロック句会・ちろりんさんのウクレレ弾き語りが始まってますし、烏天狗君の「男の料理」に皆の箸がのびております。
寒暖の不条理説きて桜だより ちろりん
花を見る空を見るまた花を見る ひなぎきょう
さくらもち今日は安売りさあいくら? 西条のみのさん
リスタートするぞ桜に誓いたく 妙
西条のみのさんとは、今日が始めての顔合わせ。霰粒シュ改め、妙さんは新俳号になって心機一転の春です。このあたりは、丹原〜西条方面の皆さん。「あらあら、お近くじゃないですか?」と、話に花が咲き始めています。
そして、こちらは、木曜カルチャーの皆さん。
花屑や昨夜の喧噪知らぬふり 空豆
あどけなき三分桜の平静さ かのん
春の日の烏天狗の愛のムチ 大五郎
大五郎君は、奥さんと子供たち二人を連れての参加。エプロンさん夫妻、梅山さんも差し入れを持って立ち寄ってくれまして、同じ木曜カルチャーの仲間である烏天狗君は「木曜日の教室のみんなが来てくれたのがボクは嬉しい!」と、大いに喜び大いに酒を飲んでおりました。が…はて?いつのまに大五郎クンに「愛のムチ」なんぞを??
そして、四人の子持一家は、久しぶりに六人揃っての登場。
桜咲くそこら一面いつき組 八分前
花の雲綿あめふわっととけました えにし
桜散る鳥のふんともちってゆく 火流斗
桜ちる昼までおやすみ夜は活動 ウルフ・オドネル
さくらちる三十皿のすしうます。 ドンキーコング
花冷えの開花宣言九日目 四人の子持
ドンキーコングの下五は、「すし」を口の中に入れて話してる感じなのか?? 父ちゃんの一句ができるまで、家族揃って待ってあげるってのが、なんちゅー優しいこっちゃ…と思いきや、今日の運転手は父ちゃん。帰りたくとも帰れないってヤツか。その隣で、えにし母ちゃん、真っ赤な顔でクイックイッと盃を空けております。
目のくらむ花吹雪また目のくらむ 緑の手
あいきょうも度胸もふぶく桜ぞな あんまプロ
荷ほどきの窓から飛び込む桜かな 堀江の海
そして、こちらの三人は、ひめゆう句会の面々。いつものように点字道具を持って参加してくれた、緑の手さん。「組長、今年は、俳句と名の付く全ての催し物に参加します!」と言い切っている彼女ですが、今日は「これが夫です」と、ダンナさん同伴での参加。あんまプロさん、生涯最初の一句でしょうか?
桜さく売切れ寸前処女句集 侘人
さくらさくひなにんぎょうをもらった おむすび
侘人さんは、お母さんへの追悼句を載せたミニ句集「侘人の大往生」をセッセと販売?! その傍ら、大きな桜の根方では、あづきちゃん一家四人(あづきちゃん、あづきちゃん母、息子二人)がお弁当を広げています。下の息子・おむすび君は、侘人さんから紙で折ったおひなさまを貰っての一句だそうです。そして、上の息子・べんとう君には、ワタクシ、こんな一句を捧げてもらいました。(爆笑〜)
さくらさくらいつきさんよってない べんとう
そうなのです、べんとう君。
いつきさんは、次々にやってくる組員たちから茣蓙代200円を確実に徴収したり、投句用紙を配ったり、先に帰った組員が座っていた場所を片付け、新しい組員たちが座れる場所を作ったり、もう酔ってる暇が無かったのです(笑〜)
三歳について登つて花に会ふ 中村阿昼
阿昼ちゃんは、息子・そうそう君と参加。椿を一輪ひろってきた、そうそう君。嬉しそうに、勿体なさそうに見せてくれました。子連れといえば、大洲の天玲さんも、息子・大ちゃんを連れての参加。大ちゃんは、やっと小学生になるんだっけかな? みんなの茣蓙の周りを走り回って、組長と追っかけっこもしました。
おっと、もう一人子連れがいたぞ。俳句マガジン「いつき組」の印刷を担当してくれているシラカタさん。息子・ハリセンはやと君と一緒にきてくれました。ハリセンはやと君は、人見知りしない元気さで、あっという間に「いつき組」の大人たちに溶け込んでました。
さくらさくら赴任四校目の校歌 ピアノフォルテ
新しい赴任校が決まったピアノフォルテさん。せっかく駆けつけてくれたのに、結局は、酔っぱらってる藤実&ウチの社長の世話しに来たような状態でありましたが、これもお人柄というものでありましょうか。
そういえば「今日は車なので呑めませんが」と言いつつも、顔を出してくれた森川大和君は4月の移動で松山の学校に転任が決まったとのこと。まさに別れと出会いの季節であります。
黒鯉の水ゆるり吐き花揺れる しらごん
花筏消化しきらぬ鯉の口 不知火
花見場を避けたる犬の散歩かな 樫の木
「近くの常信寺まで吟行に行こう!」と、ねこ端石クンだったか、亀城ことポチ君だったかが、声を張り上げてましたが、結局それに応じたのは、むしさん・しゃげちゃんたちぐらいだったか??…うーむ、俳句集団ならぬタダの酒飲み集団と化している組員たち。
まさにこの一句が、あの場の空気を赤裸々に語っていると言ってよいでしょう。
花を見ませんかと言えず花の下 佐藤文香
そんな現場にて、殻嵩はるお君がうっかり失言。「文香ちゃん、どしたんぞ、花見の現場に句集持ってきて売らんかい! おいさん、十冊は買うてやったのに〜残念やのぉ!」「おいさん、よう言うた!文香んちは、ここから自転車で五分やで。文香〜、おいさん十冊買うてくれるって言いよるけん、はよ家に帰って句集持っといで!」
うなづいた文香は、ダッシュで出発。殻嵩はるお、一瞬ゲゲゲッと唸っておりましたが、酔っぱらいの組員たちにガンガン売って、文香ちゃん持ってきた十五冊を完売!! 殻嵩のおいさんもちゃんと一冊買うてくれました。ありがとさ〜ん!
ごちゃごちゃの花見会場見渡して 暇人
花見にもMY箸というグッズ 香雪蘭
囲みゐて武勇伝聞く花の下 なぎさ
名ばかりの俳人集う桜かな 釈然
桜愛で忘れた頃にまた桜 のり茶づけ
サンタナの曲うたいだす花明り 詠み人知らず
底冷えや花を無理矢理あおり酒 殻嵩はるお
酔人の足元気になる花の下 遊造
繋ぐ手の温き桜下の宴かな あねご
百人の宴幾億の花の下 瀑
詠み人知らずの句は、名前が無かったのですが、蛇頭さんから紹介された焼酎バー「旧友再会」のマスターか?? とても奇麗な…女性文字のようでもありました。
あねご・鍛冶屋君たち鷹子勢は、地元の集会があって、それぞれの時間に合わせて退場。瀑さんは、娘のテーヌちゃんが迎えに来てくれて、それは嬉しそうなパパの笑顔で帰っていきました。
傾き始めると一気に勢いを失っていくのが、春の太陽。夕暮れが近づいてくると、座はどんどん怪しくなっていきます。
かの君も来ておそるべき花の宴 ポメロ親父
すきだのにそっぽむいてる桜花 高橋正治
いいかげんやめてくれない姥桜 広瀬くん
桜にはうそもありたりちりはじめ 理酔
花びらのひとつひとつに口づけす 南行ひかる
花びらに触れ君に触れ春の夜 南行ひかる
今日が「いつき組」最後の集まりとなる、南行ひかる君。この4月に単身赴任を終え、東京に戻ります。昼頃からの参加だった割にはすでにグデンクデン…というか、沈没。しかし、朝から参加のこちらのお方は、一向にテンションも酒量も変わりません。
さくらには悪いが酒のほうがいい きとうじん
甲冑オタクの灰色狼君、今日の衣装は「直垂」でありました。あの衣装をちゃんと着付けて畳めるのがエライよなあ〜といつも思う組長です。
直垂を畳みて終える花見かな 灰色狼
「十二時間達成まであと一時間、皆さん頑張りましょう!」なんて、花見の席での台詞とは思われないわけですが、「あと四十分!火の側の方があったかいです!」なんて励まし合いつつ、残っているメンバーたちはどんどん真ん中に集まり寄り添っていきます。
むささびの夜空に遊ぶ桜かな 栞
バーナーの火花飛びちる桜の夜 みっちゃん
夜の桜白さをを極め終わりけり 恋衣
火の美しさを言い、夜空の紺碧に気づき、桜の美しさを語るようになるのは、やはり夜という時間の力。少し酔いが醒めはじめた南行ひかる君に「今日こそ、ほんとに最後の挨拶をせい!」との拍手が起こります。
「待ってましたッ!」「泣くなよ〜!」「ひかる〜ん、行かないで〜」
さまざまな野次が飛ぶ中、南行ひかる、渾身の別れの挨拶でありました。そして「私は、私は…いずれ、いずれ必ず松山に帰ってまいりますッ!」の宣言に湧き起こる五七五拍子。最後は、皆で肩組み合って、南行ひかる、男泣きの記念写真となりました。
たかが俳句の出会いとおっしゃいますな。
俳句というたった一点で繋がっている私たちですが、この不思議な友情をなんと語ればよいのでしょう。心地よい酔いに、うっとりと包まれて、むうんさんのこんな一句、心に沁みた夜でありましたよ。
さくらさくらゆっくり醒めてゆくほてり むうん
投句用紙が60枚。うち、南行ひかる君が酔っぱらって2句出してたので、59名。さらに、ワタクシの記憶する限りの名前を書き出して、今年の参加者人数を概算しましたところ、俳句を書かないで帰ったと思われる人間が49名。合計108名。
参加人数108名の「いつき組」大お花見大会。無事に今年も終了いたしました。皆さん、お疲れさまでした!
きとうじんスポレク部長から「忘れ物を取りに帰ってたんですが、ついでにお迎えに寄りましょうか」との電話が入りました。「おおー、それはラッキー!」
今年も、ねこ端石君の純喫茶・恋猫が店びらきするだろうから、ねこちゃんの淹れてくれる朝の珈琲をあてにして、近くのパン屋さんでサンドイッチやパンを仕入れます。
「きとうじんさん、何を忘れてたの?」「いつき組の旗を忘れないようにと、そればっかりが気になってたものですから、肝心の酒を忘れて…」
うん、なるほど引き返さざるを得ないですわな〜
日曜日の朝はラクラク空いておりまして、八時十分前に道後公園のすぐ側の(知ってる人だけが知ってる穴場の)駐車場に車を止めると、同じ駐車場に高知ナンバーの車。んんん? 近寄ってみると、やはり高知のてっぺいちゃん!
さすがです、てっぺいちゃん。「朝の八時から夜の八時まで十二時間フル参加の予定です」と、大荷物をかるがる担いで歩き出しております。
「予約を入れている日野商店さんを探して下さい」と言われていたので、まずはその店を探さなくちゃ・・と思えば、何の苦労もなくすぐに発見。若いオネエチャンが二人、ゴザをセッセと広げています。
「おはようございます!いつき組です!」
「うっわー、ほんとに八時に来るんや!」「ハイ、恒例なんで」「ほんッとに夜の八時までやるんですか?」「ハイ、これまた恒例なんで」「実はまだウチの店開く時間じゃないんで、オタクらに合わせて、ワタシらこんな時間に泣く泣く這うようにして出てきたんです(涙〜)」「す、すんません」
そんなことを言ってるうちに、予想どおり、ねこちゃん登場。
午前八時に集まったメンバーは、きとうじん・ねこ端石・てっぺい・兼光・いつきの五人。紙コップに、きとうじん部長が持ってきた日本酒を注いで最初の乾杯だ〜!
乾杯からそれほど時間が経たないうちに、ドクトルバンブー君登場。
が、なにか、どこかが、うらぶれている感じ??「昨日は朝の四時まで飲んでまして、一度寝たらもう花見に来られなくなりそうだったので、寝ないでそのまま来ました。」「…それ、アンタ、昨日とはいわんやろ、さっきやろ」
寝ても寝てもまた寝る猫や八重桜 ドクトルバンブー
彼の只今現在の願望を詠んだような一句。つらいの〜二日酔い。
さらに同類がすぐに登場。やはり昨夜・・いや、今朝まで「まる安」食堂で飲んでいたという博多・理酔クン。さらに「祭り関係の飲み方が昨夜あって、このまま寝たらボクも、いつき組の花見に来られんと思うたんで、そのまま来たッス!」という、新居浜・ラグナ君。君ら…どうしてそこまで似るの??
割り当てられた一区画では、どうみても足りそうもないので、オネエチャンに頼んでもう一区画分増やしてもらいました。これで広さはなんとか確保できたように思うんだけど、やはり朝のゴザの上は寒い。ねこちゃんが珈琲を淹れはじめました。てっぺいちゃんが貸してくれた断熱マットのなんとありがたいことか。
「おはようございます!」と現れたのは、テニスの朝練帰りだというtoku229さん。場所だけ確認して、一度家に帰ってくるとのこと。「私は、去年の花見の日に初めてここで組長と会ったんです」という、再会の思いを詠んでくれておりました。
桜咲き再会楽しいつき組 toku229
ねこちゃんの珈琲の香りに誘われるように、マルコボコムのスタッフ・まほろ君、まーくん、そしてキム・チャンヒ編集長も「ブックレビュー」のための本を抱えて登場。
次々に人集まりて朝桜 まーくん
伴奏の嬰ハ長調初桜 まほろ
今日は、ここで俳句マガジン「いつき組」のコラム「ほろよいブックレビュー」の対談?も行われます。書店員・正田君の到着を待ちますが、「これから家を出る」とか出ないとかという電話がかかってきている模様。チャンヒ編集長曰く「彼の場合、想定内の出来事ですから‥」
正田君無事に到着。続いて、マイマイ君が愛妻・藤実を連れて登場。「私は仕事なんで、夜の八時まで妻を預かって下さい」と言い残して帰っていく。「たしかに人妻預かった!」と、皆でその背中に向かって叫ぶ!
その背中と入れ違うように、今年の花見、最も遠方からの参加者・ひでこさん到着!大拍手で迎えられたこのお母さん、なんと兵庫県西宮から飛行機での日帰り参加〜スゴイぞ、ひでこちゃん!
子規もみた漱石もみた初桜 ひでこ
正田君が現れて「ブックレビュー」が始まる頃には、車座もだんだん大きくなっています。背後では、てっぺいちゃんの七輪焼き屋が開店。手書きメニューに、皆が爆笑。「てっぺいちゃん、自分の名前の「て」を大きく書き間違えるのって、どうなんですか(笑)」とチャンヒ編集長に突っ込まれております。目の前では、広瀬くんのチゲ鍋がぐつぐつ煮え始めました。
十時から開始の「連句部公開興行」に参加する連句部員も続々到着。さすがは(ムトハップ会の)皆さん、早めの到着。連句部長・桂雪さん、けいさん夫妻、大きなお重箱を抱えての登場に大拍手!
野暮の居て語り部の居て花見かな 桂雪
続いて、同じく連句部員でありムトハップ会会長の蕃さん、奥さんのももさんも到着。二人とも、クリップ付き色紙を準備してやる気満々モード。脚の手術が終わった蕃さんは、小さな椅子を持参の参加であります。
脚癒えし夫さそひて花の下 もも
さくら花人の盛りに散るべきや 蕃
「連句なんて難しそう」と思ってる人たちに、まずは経験してもらうための興行。「名残の裏」の恋あたりから12句ほどを残してあったので、それを皆と一緒に巻き上げようという趣向です。連句って何?という人間が、この時点で三十人以上。「そんなルールがあるんなら早く言ってよッ」「七七ぢゃなかったのかよッ」「げげ、また予選落ちッ」とわめきつつ、ガンガン参加してくる組員たち。一升瓶もグングン回ってきて…たぶん、この瞬間、日本一品の無い連句の座であったろうと思われます?!
人目を避けて咲く冬菫 蕃
二番目の女でいいのアタシなら いつき
帰ったあとの松任谷由実 酒洛
脱ぎすてし衣ににほひのこりたる もも
翼竜の来て夜をのみこむ 理酔
マグダラのマリアは眠る十三夜 稲穂
ひょんの実鳴らすふるふる鳴らす いつき
空っぽの鞄の底の冬隣 まほろ
三本ジュースひとつなくなる 瑛翔
これからはきれいどころが来ると言ふ もも
駒下駄過ぐる湯屋の坂道 樫の木
流れ浮く風に遊びて花筏 けい
鯉の背びれに春宵の影 きとうじん
大分から参加・豊後の樫の木クン、4月から中学生俳人となる瑛翔クンなどの句も堂々採用され、酒洛こと、らくさぶろう君は「連句って面白いですね!連句部行ってみたいなあ」と言いつつ、愛南町での仕事へと出発なさいました〜
キム・チャンヒの兄ちゃんご一家は、「『いつき組』の花見に行かないわけにはいかない!」という子供たちの主張で、連句部の時間帯に参加。子供たちはそれぞれ連句にも挑戦し、桜の一句もしたため、春休みの里帰り・鹿児島へ出発しました〜
パチンコの木の下でお花見会 瑛翔
八重桜ござの周りにならぶくつ 紗蘭
さくらさくピンクとくろのくつならぶ あんり
さあ、花見の茣蓙はすでに満員状態!
持ってきた酒や食べ物が広げられ、わあわあがあがあの大賑わいの中、きとうじん部長の「皆さんッ!」との大声の呼びかけにより、ラジオ番組「一句一遊」再開運動のためのパワーランチミーティングが始まります。(内容は昨日のブログにて報告)
あれだけ、騒いでたのにピタリとこの話に集中できるのがスゲーな〜と、心秘かに感嘆。書記役の兼光さんが、黙々とメモを取っています。
ひとまず、皆さんの意見を集約して、高知・まっことマンデー君、きとうじん部長などが活動方針を相談。ホームページの朧庵にて、今後の方策を発表していくことになりました。
養花天下はピンクに上は青(ブルー) 破障子
筆耕の終わりし頃の桜かな 姫海堂@字がかけるうちに投句!
この、姫海堂の@以下の判断は正しい!
座は、ぐんぐん乱れ始めます。まだ正午を回ったところだというのに…。あっちでは、プリマッスロック句会・ちろりんさんのウクレレ弾き語りが始まってますし、烏天狗君の「男の料理」に皆の箸がのびております。
寒暖の不条理説きて桜だより ちろりん
花を見る空を見るまた花を見る ひなぎきょう
さくらもち今日は安売りさあいくら? 西条のみのさん
リスタートするぞ桜に誓いたく 妙
西条のみのさんとは、今日が始めての顔合わせ。霰粒シュ改め、妙さんは新俳号になって心機一転の春です。このあたりは、丹原〜西条方面の皆さん。「あらあら、お近くじゃないですか?」と、話に花が咲き始めています。
そして、こちらは、木曜カルチャーの皆さん。
花屑や昨夜の喧噪知らぬふり 空豆
あどけなき三分桜の平静さ かのん
春の日の烏天狗の愛のムチ 大五郎
大五郎君は、奥さんと子供たち二人を連れての参加。エプロンさん夫妻、梅山さんも差し入れを持って立ち寄ってくれまして、同じ木曜カルチャーの仲間である烏天狗君は「木曜日の教室のみんなが来てくれたのがボクは嬉しい!」と、大いに喜び大いに酒を飲んでおりました。が…はて?いつのまに大五郎クンに「愛のムチ」なんぞを??
そして、四人の子持一家は、久しぶりに六人揃っての登場。
桜咲くそこら一面いつき組 八分前
花の雲綿あめふわっととけました えにし
桜散る鳥のふんともちってゆく 火流斗
桜ちる昼までおやすみ夜は活動 ウルフ・オドネル
さくらちる三十皿のすしうます。 ドンキーコング
花冷えの開花宣言九日目 四人の子持
ドンキーコングの下五は、「すし」を口の中に入れて話してる感じなのか?? 父ちゃんの一句ができるまで、家族揃って待ってあげるってのが、なんちゅー優しいこっちゃ…と思いきや、今日の運転手は父ちゃん。帰りたくとも帰れないってヤツか。その隣で、えにし母ちゃん、真っ赤な顔でクイックイッと盃を空けております。
目のくらむ花吹雪また目のくらむ 緑の手
あいきょうも度胸もふぶく桜ぞな あんまプロ
荷ほどきの窓から飛び込む桜かな 堀江の海
そして、こちらの三人は、ひめゆう句会の面々。いつものように点字道具を持って参加してくれた、緑の手さん。「組長、今年は、俳句と名の付く全ての催し物に参加します!」と言い切っている彼女ですが、今日は「これが夫です」と、ダンナさん同伴での参加。あんまプロさん、生涯最初の一句でしょうか?
桜さく売切れ寸前処女句集 侘人
さくらさくひなにんぎょうをもらった おむすび
侘人さんは、お母さんへの追悼句を載せたミニ句集「侘人の大往生」をセッセと販売?! その傍ら、大きな桜の根方では、あづきちゃん一家四人(あづきちゃん、あづきちゃん母、息子二人)がお弁当を広げています。下の息子・おむすび君は、侘人さんから紙で折ったおひなさまを貰っての一句だそうです。そして、上の息子・べんとう君には、ワタクシ、こんな一句を捧げてもらいました。(爆笑〜)
さくらさくらいつきさんよってない べんとう
そうなのです、べんとう君。
いつきさんは、次々にやってくる組員たちから茣蓙代200円を確実に徴収したり、投句用紙を配ったり、先に帰った組員が座っていた場所を片付け、新しい組員たちが座れる場所を作ったり、もう酔ってる暇が無かったのです(笑〜)
三歳について登つて花に会ふ 中村阿昼
阿昼ちゃんは、息子・そうそう君と参加。椿を一輪ひろってきた、そうそう君。嬉しそうに、勿体なさそうに見せてくれました。子連れといえば、大洲の天玲さんも、息子・大ちゃんを連れての参加。大ちゃんは、やっと小学生になるんだっけかな? みんなの茣蓙の周りを走り回って、組長と追っかけっこもしました。
おっと、もう一人子連れがいたぞ。俳句マガジン「いつき組」の印刷を担当してくれているシラカタさん。息子・ハリセンはやと君と一緒にきてくれました。ハリセンはやと君は、人見知りしない元気さで、あっという間に「いつき組」の大人たちに溶け込んでました。
さくらさくら赴任四校目の校歌 ピアノフォルテ
新しい赴任校が決まったピアノフォルテさん。せっかく駆けつけてくれたのに、結局は、酔っぱらってる藤実&ウチの社長の世話しに来たような状態でありましたが、これもお人柄というものでありましょうか。
そういえば「今日は車なので呑めませんが」と言いつつも、顔を出してくれた森川大和君は4月の移動で松山の学校に転任が決まったとのこと。まさに別れと出会いの季節であります。
黒鯉の水ゆるり吐き花揺れる しらごん
花筏消化しきらぬ鯉の口 不知火
花見場を避けたる犬の散歩かな 樫の木
「近くの常信寺まで吟行に行こう!」と、ねこ端石クンだったか、亀城ことポチ君だったかが、声を張り上げてましたが、結局それに応じたのは、むしさん・しゃげちゃんたちぐらいだったか??…うーむ、俳句集団ならぬタダの酒飲み集団と化している組員たち。
まさにこの一句が、あの場の空気を赤裸々に語っていると言ってよいでしょう。
花を見ませんかと言えず花の下 佐藤文香
そんな現場にて、殻嵩はるお君がうっかり失言。「文香ちゃん、どしたんぞ、花見の現場に句集持ってきて売らんかい! おいさん、十冊は買うてやったのに〜残念やのぉ!」「おいさん、よう言うた!文香んちは、ここから自転車で五分やで。文香〜、おいさん十冊買うてくれるって言いよるけん、はよ家に帰って句集持っといで!」
うなづいた文香は、ダッシュで出発。殻嵩はるお、一瞬ゲゲゲッと唸っておりましたが、酔っぱらいの組員たちにガンガン売って、文香ちゃん持ってきた十五冊を完売!! 殻嵩のおいさんもちゃんと一冊買うてくれました。ありがとさ〜ん!
ごちゃごちゃの花見会場見渡して 暇人
花見にもMY箸というグッズ 香雪蘭
囲みゐて武勇伝聞く花の下 なぎさ
名ばかりの俳人集う桜かな 釈然
桜愛で忘れた頃にまた桜 のり茶づけ
サンタナの曲うたいだす花明り 詠み人知らず
底冷えや花を無理矢理あおり酒 殻嵩はるお
酔人の足元気になる花の下 遊造
繋ぐ手の温き桜下の宴かな あねご
百人の宴幾億の花の下 瀑
詠み人知らずの句は、名前が無かったのですが、蛇頭さんから紹介された焼酎バー「旧友再会」のマスターか?? とても奇麗な…女性文字のようでもありました。
あねご・鍛冶屋君たち鷹子勢は、地元の集会があって、それぞれの時間に合わせて退場。瀑さんは、娘のテーヌちゃんが迎えに来てくれて、それは嬉しそうなパパの笑顔で帰っていきました。
傾き始めると一気に勢いを失っていくのが、春の太陽。夕暮れが近づいてくると、座はどんどん怪しくなっていきます。
かの君も来ておそるべき花の宴 ポメロ親父
すきだのにそっぽむいてる桜花 高橋正治
いいかげんやめてくれない姥桜 広瀬くん
桜にはうそもありたりちりはじめ 理酔
花びらのひとつひとつに口づけす 南行ひかる
花びらに触れ君に触れ春の夜 南行ひかる
今日が「いつき組」最後の集まりとなる、南行ひかる君。この4月に単身赴任を終え、東京に戻ります。昼頃からの参加だった割にはすでにグデンクデン…というか、沈没。しかし、朝から参加のこちらのお方は、一向にテンションも酒量も変わりません。
さくらには悪いが酒のほうがいい きとうじん
甲冑オタクの灰色狼君、今日の衣装は「直垂」でありました。あの衣装をちゃんと着付けて畳めるのがエライよなあ〜といつも思う組長です。
直垂を畳みて終える花見かな 灰色狼
「十二時間達成まであと一時間、皆さん頑張りましょう!」なんて、花見の席での台詞とは思われないわけですが、「あと四十分!火の側の方があったかいです!」なんて励まし合いつつ、残っているメンバーたちはどんどん真ん中に集まり寄り添っていきます。
むささびの夜空に遊ぶ桜かな 栞
バーナーの火花飛びちる桜の夜 みっちゃん
夜の桜白さをを極め終わりけり 恋衣
火の美しさを言い、夜空の紺碧に気づき、桜の美しさを語るようになるのは、やはり夜という時間の力。少し酔いが醒めはじめた南行ひかる君に「今日こそ、ほんとに最後の挨拶をせい!」との拍手が起こります。
「待ってましたッ!」「泣くなよ〜!」「ひかる〜ん、行かないで〜」
さまざまな野次が飛ぶ中、南行ひかる、渾身の別れの挨拶でありました。そして「私は、私は…いずれ、いずれ必ず松山に帰ってまいりますッ!」の宣言に湧き起こる五七五拍子。最後は、皆で肩組み合って、南行ひかる、男泣きの記念写真となりました。
たかが俳句の出会いとおっしゃいますな。
俳句というたった一点で繋がっている私たちですが、この不思議な友情をなんと語ればよいのでしょう。心地よい酔いに、うっとりと包まれて、むうんさんのこんな一句、心に沁みた夜でありましたよ。
さくらさくらゆっくり醒めてゆくほてり むうん
投句用紙が60枚。うち、南行ひかる君が酔っぱらって2句出してたので、59名。さらに、ワタクシの記憶する限りの名前を書き出して、今年の参加者人数を概算しましたところ、俳句を書かないで帰ったと思われる人間が49名。合計108名。
参加人数108名の「いつき組」大お花見大会。無事に今年も終了いたしました。皆さん、お疲れさまでした!
- 2009.03.31 Tuesday
- スパイシーな日常
- 17:23
- comments(14)
- -
- by