審査員の一人として

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    先日の記事に、私は以下のように書きました。

    相手チームの句をけなす必要は全くない。シンプルで鋭い質問、相手の言葉を引き出す質問を投げてくれさえすればいいのです。投げられた質問に対する答えを聞けば、審査員たちは、その人そのチームの鑑賞力や理解力は分かってしまうのですから。(8月23日記事)

    もし、高校生たちが次の一年間しっかりと勉強を重ね、知識と感受性を豊かに育てて、俳句甲子園に臨んでくれたとします。シンプルで鋭い質問の矢を次々に放てる実力をつけた高校生が集まってきたとします。私がいう「シンプルで鋭い質問の矢」とは、敗者復活戦で審査員13人が放つ、あのような質問です。

    例えば、文法問題を想定して・・・
    「ここに敢えて助動詞『し』を使った理由を教えて下さい」
    「『会へば』ではなく『会はば』とした意図はいかがですか?」
    「助詞の可能性として、「に」「を」「へ」と三つ考えられますが、なぜ「に」にしたのか、その意図を語って下さい」

    ・・・などの質問を高校生が発してくれるところまで育ったとして、その答えから相手チームの力量を正確に判断できる「審査員としてのワタクシ」であるのか?との自問。

    たかが文法一つとっても、「審査員」として旗を握る以上は、自分を怠けさせてはいけないと肝に銘じます。高校生たちの一言一句、一問一答を聞き逃さないための集中力。即座に判断するための知識と決断力。「審査員としてのワタクシ」に小さな失敗があったとすれば、それをデータとしてインプットし、即座に切り替え修正していく精神力。

    高校生が進化していく以上に、「審査員としてのワタクシ」も進化していかねばなりません。熱い夏を越える度に、高校生が進化し、オトナの俳人も進化していく。それが「俳句甲子園」へ託す願いであり、「100年俳句計画」が目指す志でもあります。

    NHK『それ行け!俳句キッズ』明日がオンエアー!

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      先だって公開収録を致しましたNHK『それ行け!俳句キッズ』いよいよ明日がオンエアーです。これは愛媛県域だったかな?たしか、午後3時5分からだったと思うのですが・・違ってたらゴメン、ははは!

      番組途中に、こんな場面も出てくるのではないかな?(笑)

      いずれ『俳句甲子園』を目指す小学生たちの元気いっぱいの俳句、観てやって下さい!

      育てるという仕事

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        俳句甲子園実行委員会の打ち上げでした。恒例の道後・大和屋でのバイキング+温泉!ここの風呂のタオルが、ほんと気持ちよくて、ワタクシ的にはポイントの高い温泉です。

        ま、そんなことはともかく、実行委員会みなで飲みながら、今年の反省、来年へのアイデアが飛び交う夜でした。

        昨日の記事に、稲根さんが書き込んで下さってること。全くその通りです。

        ・・・が、高校生たちの議論する力は、最初は実に稚拙なものでした。別な意味でこれも困ったものでした。
        「この花火の句は、誰と行ったときの句ですか?」
        「家族です」
        「デートじゃないかったんですね」
        「はい、今度誘って下さい」
        「よろこんで」

        こんな時代もあったわけで、ゆっくりと育てつつの十六年。先輩から後輩へと伝えていく力を信じて、私たちはこの十六年を彼らと共に歩んできました。

        今年の閉会式で、ワタクシは高校生たちに「さあ、次のステップに進もうぜ!」と呼びかけましたが、教育というのはほんとうに根気のいる仕事です。俳句甲子園が教育の場であるということを沢山の皆さんにご理解いただきつつ、ワンランク上のステージに上がれそうな手応えがあった、今大会でありました。

        100年俳句計画が掲げる「100年」という気の長い数字は、育てるという仕事のためには必要な数字だと考えます。真摯に根気よく育てていくことは、思いのほか胆力のいる仕事です。コツコツ積み上げてまいりましょう。

        そんな夜のこんな三凡君?

        シンプル&クリーンファイト!これぞ、ジェントルマン精神!

        シンプル&クリーンファイト

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          NPO法人俳句甲子園実行委員会のメンバーであり、タレントでもあるやのひろみちゃんのブログに、第16回俳句甲子園のあれやこれやを写真入りで丁寧に書いてくれてました!

          http://tug-product.main.jp/yanohiromi/turezure/%e6%96%b0%e8%81%9e/

          そのブログの中にあった「クリーンファイト」という言葉。これは、次の17回大会の心のスローガンにしたい言葉だなあ〜と、拝読。

          相手チームの句をけなす必要は全くない。シンプルで鋭い質問、相手の言葉を引き出す質問を投げてくれさえすればいいのです。投げられた質問に対する答えを聞けば、審査員たちは、その人そのチームの鑑賞力や理解力は分かってしまうのですから。

          次の一年間で、そんな質問ができる力を身につけてくれる高校が何校あるか。

            シンプル&クリーンファイト

          俳句甲子園のために溜まっているルーチンワークをこなした1日。まだまだ終わらないよ。

          睡蓮とオモダカの水鉢に、ゴーヤの蔓が伸びて。

          放歌高吟 8月号

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            そろそろ皆さんのお手元に、月刊俳句マガジン『100年俳句計画』9月号が届く頃でしょうか。一ヶ月遅れの「放歌高吟」です。


            放歌高吟 8月号

                私信

            あをあをと余震の過ぐる蛍かな
            呼べば泣く山彦ならん蛍の夜
            へとへとと風鈴の舌湿りしよ
            その雨の夜の草笛語りかな
            木の椅子や髪を洗えば匂う星
            髪洗う静かに暮らすとはこんな
            短夜の星やフランスより私信
            大聖堂へ夏至の人波うごきけり
            果実甘し青き日除のリストランテ
            ドラムのない世界と薔薇のない明日
            痛点はひかり黒揚羽のかがやく
            木下闇とは口開けている無音

             

             例えば兼題「蛍」で俳句を作ろうとする時、「蛍」という季語の現場に立った夜の一コマ一コマが、驚くほどリアルに蘇ってくる。真っ暗な足元、河原の石の感触、湿気を含んだ暑さの名残、冷気を含んだ川の匂い。あの日確かに自分の躰が感じ取った五感の感触が、微細に再生されていく。
             俳句を続けていく上で、「躰が記憶する季語感覚」は大いなる財産にして、貴重な情報だ。今、目の前に「蛍」がいなくても、私たちは躰に刻んだ季語情報を再生させることで、想念の中に、生きた「蛍」を放つことができる。虚と実の世界に遊ぶとは、「躰が記憶する季語感覚」を豊富に有していてこそ可能な、究極の遊びだ。
             今日「しまなみ海道句会ライブツアー」という名の吟行会に出向いた。大島の宮窪港から観潮船に乗り、能島村上と呼ばれた水軍の根城・能島へ向かう。この島の頂上の平らな部分に海賊たちは海城を建てていたというのだが、こんな小さな島が本拠地?攻撃されたらひとたまりも無いよ!と思うほどの小ささ。あまりに無防備ではないか……と思ったのだが、なんのなんの、その海域に近づいていくと、複雑な潮流が激しく渦巻き、白波が猛り狂っている。潮の特徴や岩礁の位置を知らない船は木っ端微塵となるか流されてしまう、というガイドの説明に成る程と頷かざるを得ない、まさに自然の要塞というべき島であることが分かってくる。最速10ノットと言われる潮流の飛沫、舟底を突き上げる潮のうねり、エンジンを止めたとたん渦に巻き込まれていくスリルは、今日の吟行会に参加した誰もの躰に刻み込まれた貴重な季語感覚だ。
             「渦潮は春の季語ですが、今日の体験を夏として詠んでもいいんですか。」参加者の何人かからこんな質問を受けた。確かに「渦潮」は春の季語。他人がその一句を詠めば、春の句として鑑賞するに違いないが、「渦潮」が生き生きと表現できたなら、それもまた佳し。さらに、夏の「渦潮」として表現したければ(上級者の技ながら)季重なりの逸品として仕上げることも可能。
             季語から受け取る五感情報は、いわば季語からの私信だ。季語たちが、五感に語りかけてくれる言葉を躰に刻みながら、私たちは「私」という俳人を育てていく。「私」を豊かに育てるために、私たちは季語の現場を目指し、季語の現場に立つのだ。 


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